ビッグイシューをご存知ですか。
路上生活者に仕事を提供し自立を応援するという、
ロンドンで始まった街頭での情報誌販売、その雑誌の名前はビッグ イシュー。
日本でも、いくつもの主要駅付近では
ビッグイシューを販売している方をしばしば見かけます。
薄い冊子だけれど、真面目な記事やコラム、お悩み相談コーナーな ど、
珈琲片手にグッと小一時間読みふける事の出来るくらい中身の詰ま ったものだったし、
表紙はタイムリーな人や、話題性のあるキャラクターだったりとキ ャッチーです。
一冊350円で販売していて、売れると彼等の手元に180円が入 ります。
180円て大きいよなあ、助けになればと思い、
あるおじさんから数回買ったことがありました。
にこやかにおじさんと会話しながら
常連さんとおぼしき男性や女性が、雑誌を購入している姿を
何度か見かけては、自分が買ったわけではないのに
勝手にホクホクした気持ちになったりしていました。
あるとき一ヶ月ほどおじさんの姿が見えない事があって、
身体を壊したのか、はたまた販売が好調で別の場所へいったのかと
思いを巡らす日々を過ごしましたが
結局またいつもと変らない様子のおじさんが同じ場所に立っている のを見たときに、
嬉しいような悲しいような複雑な気持ちになりました。
彼等は雨の日も風の日も真夏の炎天下でも、じっと何時間も同じ場 所に立って
静かに冊子を買ってくれる人を待っています。
仕事は人を強くします。
彼等がどうしてそのような境遇になったのかは
伺い知る事が出来ないけれど、そんなにじっと、
どんな日も冊子を販売することの出来る心があるならきっと、
いつか雑誌の販売でない別の仕事をしているんじゃないかな。
どんなに正しく生きていても、
お金をひょんなことでなくす事もあるかも知れません。
身近なこととして考えると、
少し気持ちがしゃんとします。
おじさん見かけたらまたビッグイシュー買ってみよう。