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年末調整の書き方を【図解付き】でわかりやすく解説!平成30年からの改正点も!

この記事の早わかり要約

  • 年末調整は、会社員などの人が1年間の所得と納める税金を決定するための制度です。
  • 平成30年度から、配偶者控除・配偶者特別控除の改定により、用紙が変更になりました。一見複雑に見えますが、控除を受けられる種類は多くあるので、申告漏れのないようにしましょう。
  • 住宅ローン利用者は、1年目は確定申告、2年目以降は年末調整をすることで控除が受けられます。

年末調整とは?どうして必要なの?

年末調整は、給与所得者(=会社員など)に関係の深い制度です。

 

会社の総務担当の人から「年末調整の書類出して」と言われて、なんとなく出している。そんな人も多いのではないでしょうか。

 

今回は「年末調整」について詳しく見ていきましょう。

 

まず押さえておくべきポイントとして、年末調整は、1年間の所得所得税を決定するために行う手続きのことで、主に会社に勤めている人が利用できる制度です。

 

一般的に、個人が1年間に得た収入は確定申告を行うことで所得が確定し、納めるべき所得税が決まります。

 

確定申告は、納税者本人が所得税額を申告して、納付を行うことを言います。

 

年末調整は、会社などが給与所得者本人に代わって、税金を計算し、納付を行うことです。

 

そのため、会社などから給与を受け取っていて、他に収入がない人は、確定申告をしなくても年末調整をすれば1年間の所得が決定します。

 

年末調整とは?

会社は毎年、従業員の税金を概算で計算して算出しています。その金額を12ヶ月で割り、割った金額を毎月の給与の中から差し引いて納付しています(源泉徴収)。

 

12月になり、1年間で支給する給与が決まったら、1月から12月分の給与を元に計算し直し、その過不足分を調整し税金を確定させます。この手続きを“年末調整”と呼びます。

 

年末調整の対象となる人は?

一般的に年末調整は12月に行われますが、その対象となる人は「1年間を通じて勤務している人や年の途中で就職して年末まで勤務している人」です。

 

「給与収入の総額が2,000万円を超える人」や、「災害減免法の規定で、給与に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人」、「2ヵ所以上から給与の支払いを受けている人で、他の給与の支払者に申告書を提出している人」など一部の人は対象外です。

 

また、年末調整までに必要な書類を提出していない人は自分で確定申告をする必要があります。

 

所得控除と税額控除

年末調整を行う上で知っておいていただきたい用語があります。それが「所得控除」と「税額控除」です。

 

「所得控除」とは、税金を計算するときに1年間の所得から控除することを言い、「課税所得金額」という所得税の計算の元になる金額を減らすことができます。元が減るので所得税が軽減されます。

 

所得控除は14種類あり、そのうち11種類の所得控除を年末調整で手続きすることができます。

 

年末調整で手続きできる所得控除

・基礎控除

・配偶者控除

・配偶者特別控除

・扶養控除

・障害者控除

・寡婦(寡夫)控除

・勤労学生控除

・社会保険料控除

・生命保険料控除

・地震保険料控除

・小規模企業共済等掛金控除

 

さらに「税額控除」があります。「税額控除」とは、確定した所得税額から差し引くことができる控除です。

 

年末調整で対象となる税額控除には、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)があります。

 

このような所得控除や税額控除は、所得税を計算する上で非常に大事なものです。

 

年末調整の対象でない所得控除3種類や税額控除は確定申告をすることによって控除の対象になります。

 

確定申告で手続きできる所得控除は、医療費控除・雑損控除・寄附金控除です。

 

年末調整2018年度(平成30年度)分からの変更点、何が変わったの?

2018年度(平成30年度)から、年末調整の用紙が変更になりました。

 

今までは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」の2種類だったのが、平成30年度からは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「給与所得者の配偶者控除等申告書」「給与所得者の保険料控除申告書」の3種類になりました。

 

その理由は、所得控除の一部である「配偶者控除」「配偶者特別控除」の改正です。

 

先ほど、所得控除の話をしました。所得控除の種類には「配偶者控除」と「配偶者特別控除」と呼ばれるものがあります。これらは、「生計を一にする配偶者に関する控除」になります。

 

これらの控除が、平成30年1月1日から一部改定となりました。それぞれを確認しておきましょう。

 

配偶者控除の改正点

配偶者控除は控除対象者がいる場合に適用される控除です。

 

今までは、配偶者の年間合計所得が38万円以下(年収103万円)であれば、38万円の控除を受けることができました。

 

改正後には、給与所得者(納税者)本人の合計所得金額によって控除の金額が変更になりました。

 

・合計所得金額900万円(年収1,120万円)以下の場合、控除金額は38万円

・合計所得金額900万円超950万円以下(年収1,120万円超1,170万円以下)の控除金額は26万円

・合計所得金額950万円超1,000万円以下(年収1,170万円超1,220万円以下)の控除金額は13万円

 

合計所得金額が多くなるにつれ段階的に控除額が減っていきます。改正前の従来制度では所得金額の制限はありませんでしたが、1,000万円を超えた場合は、控除がなくなります。

 

配偶者特別控除の改正点

配偶者控除の対象にならない場合で、一定の条件を満たすと配偶者特別控除の対象となります。

 

以前は「配偶者の合計所得が38万円超76万円未満(年収141万円未満)であること」、また「給与所得者本人の合計所得が1,000万円以下(年収1,220万円以下)であること」この2つの条件を満たしている場合に、控除金額は最高38万円でした。

 

配偶者特別控除は、改正により「給与所得者の合計所得要件」と「配偶者の合計所得(※)」が変更となり、所得額に応じて控除金額は38万円から1万円となります。

 

※改正後は、配偶者の合計所得金額は38万円超123万円以下、年収103万円超201万6千円未満

 

 

出典 国税庁

 

配偶者控除の改正ポイントをわかりやすく説明【2018年版】

 

図解付き!年末調整の書類の見方・書き方

年末調整に関連している書類は、4種類あります。年末調整は、書類ごとに控除対象が決まっており、それぞれにおいて控除金額を確定します。

 

1.給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

給与所得者本人が所得控除の対象になる配偶者や、扶養親族に関する所得控除を申告するためのものです。平成28年から扶養家族のマイナンバーを記載することになりました。

 

【対象】

源泉控除対象配偶者【本人所得900万円以下(年収1,120万円以下)、生計を一にする配偶者の所得が85万円以下(年収150万円以下)に該当する配偶者】

 

【対象控除】

基礎控除、扶養控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除

 

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載できる控除は、これから紹介する源泉控除対象配偶者以外にも、扶養控除や障害者控除など人に関わる複数の控除があります。今回は代表的なものとして「源泉控除対象配偶者」を取りあげます。

 

源泉控除対象配偶者

配偶者控除、配偶者特別控除の対象者のうち、給与所得者本人の合計所得金額が900万円以下であり、配偶者の合計所得金額が85万円以下の場合に該当します。

参考:国税庁 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告

 

 

【図解】給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

 

2.給与所得者の配偶者控除等申告書

主に、配偶者控除と、配偶者特別控除について申告します。

 

【対象控除】

配偶者控除、配偶者特別控除

 

源泉控除対象配偶者に該当しない、配偶者控除、配偶者特別控除の対象者はこの「給与所得者の配偶者控除等申告書」で申告します。

 

配偶者控除

配偶者控除は控除対象配偶者がいる時に適用することができます。

 

【対象】

・民法の規定による配偶者(内縁関係の人は該当しない)

・給与所得者と生計を一にする配偶者

・年間合計所得38万円以下の人(給与所得のみの場合は、年収103万円以下の人)

・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと

・給与所得者本人の合計所得が1,000万円を超えていないこと

 

【控除の金額】

配偶者控除は給与所得者本人の年間の合計所得によって控除金額が決定します。

・900万円以下:38万円

・900万円超950万円以下:26万円

・950万円超1,000万円以下:13万円

 

配偶者特別控除

配偶者特別控除は、配偶者控除の対象にならないケースで、以下の要件を満たす場合に適用することができます。なお、夫婦間でお互いに控除を受けることはできません。

 

【対象】 ※平成30年分以後の要件

・配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下

・給与所得者本人の合計所得金額が1,000万円以下

・民法の規定による配偶者(内縁関係の人は該当しない)

・給与所得者と生計を一にする配偶者

・他の人の扶養親族ではないこと

・その年を通じて、青色申告者の事業専従者として一度も給与の支払いを受けていないこと、また白色申告者の事業専従者でないこと

 

【控除の金額】

「控除を受ける人のその年の合計所得金額」と「配偶者の合計所得金額」に応じて控除の金額が決まります。最高38万円で所得に応じて減額されます。

参考:国税庁 給与所得者の配偶者控除等の申告

 

 

【図解】給与所得者の配偶者控除等申告書

 

3.給与所得者の保険料控除申告書

生命保険、地震保険等の各種保険料控除について申告します。

 

用紙は「生命保険料控除」「地震保険料控除」「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」を申告するパートに分かれています。

 

【対象控除】

生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除

(社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除は自分で申告する場合)

 

生命保険料控除

生命保険料控除は生命保険料を支払った場合に適用する控除です。一般生命保険料・個人年金保険料・介護医療保険料に区分されていて、それぞれの控除額を計算します。

 

【対象】

生命保険、個人年金保険、介護医療保険等に加入して保険料を支払っている人

 

【控除の金額】

所得税の控除額は、1つの区分につき最高4万円で、3つの区分の合計は12万円までです。

 

【必要書類】

生命保険会社が発行した保険料控除証明書(郵送で届き、書類の呼び方は保険会社によって異なります)

 

【書き方】

「一般生命保険料」「個人年金保険料」「介護医療保険料」の区分ごとに計算していきます。

 

まずは、支払った保険について「保険会社・保険の種類など」の欄を、保険料控除証明書を元に転記します。

 

それぞれの区分、新旧保険契約ごと(*)に控除金額を計算します。最後にそれぞれのイ・ロ・ハを合計した金額が保険料控除の金額です。

 

※新保険契約とは平成24年1月1日以降の契約、旧保険契約とは平成23年12月31日以前の契約のことです。

生命保険料控除の対象の保険とは?新旧の控除額を比較!

 

地震保険料控除

地震保険料控除は住んでいる自宅や、生活用動産保険の目的とする地震保険料を支払った場合に、適用することができます。地震保険と一緒に支払っている火災保険は対象外です。

 

旧長期損害保険料の対象の保険を保有しているなら、この場所に記載します。

 

【対象】

地震保険に加入して保険料を支払っている人

 

【控除の金額】

地震保険料の全額(最大控除額は5万円まで)

 

【必要書類】

損害保険会社などが発行した証明書類

 

【書き方】

保険会社の名前や保険の種類などを転記します。そのあと、地震保険料と旧長期損害保険料の金額を書いて、控除金額として合計金額を出します。

 

社会保険料控除

社会保険料控除は、給与所得者本人または生計を一にする配偶者と、その他の親族の社会保険料(国民健康保険料、健康保険料、国民年金保険料、厚生年金保険料、介護保険料など)を支払った場合に対象となります。

 

【対象】

納税者全員

 

【控除の金額】

その年に支払った社会保険料全額

 

【書き方】

給与から天引きされている社会保険料を記載する必要はありません。扶養配偶者・親族の分を代わりに支払っている場合などの金額を記載しましょう。全額が控除の対象となります。

 

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済と言われる個人事業主などが退職金積み立てなどを目的として加入する共済制度の掛金の控除が受けられる制度です。

 

個人型確定拠出年金(通称iDeCo イデコ)もこの控除の対象です。支払った掛金の合計金額全てが所得控除の対象となります。

 

【対象】

・小規模企業共済

・確定拠出年金

・心身障害者扶養共済

 

【控除の金額】

掛金の全額

 

【必要書類】

それぞれの機関が発行した証明書類

・小規模企業共済掛金払込証明書

・小規模企業共済掛金払込証明書 確定拠出年金(個人年金型)

・掛金払込証明書

などです。

 

それぞれ原本の提出が必須となります。

 

【書き方】

それぞれ支払った保険料を転記します。確定拠出年金の掛金が給与から控除されている場合など、会社で把握している分は記載不要です。

参考:国税庁 給与所得者の保険料控除の申告

 

 

【図解】給与所得者の保険料控除申告書

 

【具体例】給与所得者の保険料控除申告書

 

4.住宅借入金等特別控除申告書

住宅ローンを組んでいて、住宅ローン控除を利用する人向けの申告書です。住宅ローン控除を利用するとき、初年度は確定申告をする必要があります。

 

2年目以降からは、年末調整で「住宅借入金等特別控除申告書」を提出することで住宅ローン控除を利用することができます。年末調整には、残高等証明書が必要です。

 

【対象控除】

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

 

年末調整に関する疑問

ここまで、年末調整の書類の見方や書き方を見てきました。次はよくある疑問を見てみましょう。

 

疑問1.続柄って何?

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」には、「世帯主の氏名」と「あなたとの続柄」を記入するところがあります。続柄とはあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、「つづきがら」と読み、親族・血族関係のことです。

 

「あなたとの続柄」とは、あなたとの関係性を示すもので、世帯主が本人なら「本人」、配偶者なら「夫」や「妻」、両親のどちらかなら「父」や「母」と記載しましょう。

 

疑問2.訂正したいときはどうするの?

訂正したい箇所に二重線を引いて上から訂正印を押し、正しい内容を記載すれば OK です。訂正印は、シャチハタではなく正式なものを用いましょう。また、年末調整は公的文書ですので、修正テープなどの修正はNGです。

 

疑問3.生命保険料控除の対象となる生命保険はどれ?

対象になる保険は、一般の生命保険と個人年金保険と介護医療保険になります。

 

生命保険料控除のポイントは、「個人年金保険」と「一般の生命保険」は別の枠で同額の控除が受けられるという点ですが、個人年金保険料控除は、受けられる保険契約の要件が決まっています。

 

以下の要件に全て当てはまらないと、一般の生命保険料控除の対象になります。

 

1.個人年金保険料税制適格特約を付帯している

2.年金受取人が契約者又は配偶者のいずれかであること

3.年金受取人と被保険者が同一であること

4.保険料の払込期間が10年以上あること(一時払いは対象外)

5.年金受給開始の年齢が60歳以上で、年金の受け取りが10年以上あること

税制適格特約とは?個人年金保険を選ぶ大事なポイント

 

疑問4.保険料控除の証明書を失くした場合どうすればいいの?

生命保険や損害保険の保険料控除の証明書は、保険料の払込の時期によって異なります。早い場合は、10月の下旬から11月頃には発送する保険会社もあるようです。

 

保険料控除の証明書を紛失した場合には、契約している保険会社に連絡し、再発行してもらいましょう。

 

疑問5.年末調整に記載しない他の控除はどうなるの?

年末調整で申告対象外の所得控除は、確定申告を行います。所得控除は全部で14種類ありますが、年末調整では控除の対象とならない所得控除も3つあります。

 

医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税など)、雑損控除は確定申告をしましょう。

 

疑問6.年度内に転職したけど、どうすればいい?

転職前の会社から受け取った源泉徴収票を、新しい会社に提出すれば、新しい会社で年末調整を受けることができます。失業保険は、課税対象ではないため、申告の必要性はありません。

 

年末調整の注意点

各種保険料控除や、住宅ローン控除を受けるために必要な用紙は捨てないで大切に保管しておきましょう。

 

住宅ローン控除は、1年目は確定申告が必要ですが、2年目からは「住宅借入金等特別控除申告書」を提出すれば、年末調整で完了します。1年目と2年目では手続きが違いますので注意が必要です。

 

年末調整し忘れた控除は、確定申告をすれば問題ありません。

 

会社員の人などは、毎年、年末調整の書類に記入することが習慣のようになっているかもしれませんが実はとても便利な制度なのです。ポイントを押さえて申告漏れのないようにしましょう。

 

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おさらい

  • 年末調整は、会社員などの人が1年間の所得と納める税金を決定するための制度です。
  • 平成30年度から、配偶者控除・配偶者特別控除の改定により、用紙が変更になりました。一見複雑に見えますが、控除を受けられる種類は多くあるので、申告漏れのないようにしましょう。
  • 住宅ローン利用者は、1年目は確定申告、2年目以降は年末調整をすることで控除が受けられます。

(最終更新日 : 2018年10月15日)

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執筆者

荒木 千秋

ファイナンシャルプランナー、大阪電気通信大学金融経済学部特任講師

現在は、同大学の講師を中心としながら、お金に関する個別相談や、WEB媒体の執筆、女性向けセミナー等を開催。

メガバンクにて、富裕層や法人オーナーを対象とした投資相談業務に従事した経験により、金融商品の販売側と一般の投資者側の両方の視点に立ったお金の知識を伝えることをモットーにしている。

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