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保険の歴史を知ろう 日本での始まりは明治時代から

保険の歴史を知ろう 日本での始まりは明治時代から

この記事の早わかり要約

  • ケガや病気の保険はエリザベス一世が出した「私掠船(海賊行為OK)」のお墨付きに対するケガ・病気の保障が起源になっています。
  • 生命保険の仕組みは、中世ヨーロッパの同業者組合「ギルド」から。近代数学の発達で、保険の仕組みがきちんと機能するようになりました。
  • 日本の生命保険は明治時代に誕生。戦争や規制緩和、外資、損保の参入など時代に合わせてどんどん種類が増えていきました。

ケガの保険の始まりは海賊から? エリザベス一世が海賊行為のケガを保障

私達の生活に欠かせない存在の“保険”。病気になった時に治療費を補ってくれたり、亡くなったお父さんの代わりに遺族の生活を支えたりと、とても頼れる存在です。“保険”の最初の仕組みは、交易時の荷物に対するもので、古代オリエント時代(紀元前3200年~紀元前200年)に作られました。今で言う「貿易保険」です。
一方、病気やケガの保険の原型は、16世紀にイギリスのエリザベス一世が作ったと言われています。
エリザベス女王は、ライバル「無敵艦隊」をもつスペインの海の覇権を崩そうと、「敵の船を捕まえてヨシ(海賊OK)」というお墨付きをイギリスの船に与えました。「私掠船」と言います。海賊には危険とケガ、病気がつきものでした。エリザベス女王は、イギリスの海賊たちに「ケガをしたら、“保険金”を払う」と公言。これで海賊は勇気100倍!女王の保険のおかげで「私掠船」が増え、スペインの無敵艦隊を打ち破り、世界の覇権はイギリスのものとなったのです。
生命保険の原型は、中世ヨーロッパの「ギルド」で始まったのでは、と言われています。「ギルド」は、同業者の組合のこと。仕事がなくなって収入が途絶えた時や、亡くなった組合員の遺族にお金を融通する仕組みでした。生命保険が、それまでの不文律運営から近代的な仕組みへ変化したのは18世紀ごろです。
「ハレー彗星」で有名な天文学者エドモンド・ハレーが、実際の統計に基づいて保険料を計算した「生命保険」を設計しました。死亡率などをしっかり算入した計算基礎で保険料を集め、支払いも確実にできるようになったのです。

日本の生命保険の始まりは福沢諭吉 保険の仕組みの誕生

では、日本の生命保険はいつ頃始まったのでしょうか。江戸時代の長い鎖国を経て、明治時代が幕明けするころの1867(慶応3)年、福沢諭吉が著書の中でヨーロッパの『近代的保険制度』を紹介したことがきっかけです。この後、1880年には現存する日本最古の生命保険会社を設立し、次々に保険会社が誕生することになります。ところが、当時は「人の生死によって金儲けをするのか」と誤解され、一般に普及するには時間がかかることに。2016年の朝ドラ、「あさが来た」では、主人公のあさが保険会社設立に奔走しました。
「保険は相互扶助の、社会に役立つ仕組みだ」との熱い思いがあさの頑張りの源でした。保険業界の内部整備や、 日清戦争・日露戦争で亡くなった多くの兵士の遺族に保険金が支払われたことで、広く一般の理解を得ることができるようになったのです。その後、医療費の増加に対応して“医療保障”を組み込んだ生命保険商品が増え、1973年以降は外資系保険会社が参入し、「がん保険」等が一般的になることに。また、規制緩和により、損害保険会社、ネット通販型生命保険会社なども市場に参入し、現在の保険の選択肢は、数え切れないほど多くなっています。
「医療特化型」の保険や、病気などの際に収入を補完する「就業不能保険」、「個人年金」や子供の学費準備のための「学資保険」など種類も多くあります。行動経済学では、消費者は「種類が多すぎると決断できない」そうです。
確かに選択肢が多いと迷ってしまって、決断が難しくなることもあります。かといって万一の場合を考えると、“保険未加入”は心配なもの。生活を守る“保険”には、FPなどの専門家のアドバイスをもらいながら、過不足なく準備しておきたいものです。もっと保険について知りたいという方は、下記よりお好みのテーマを選んでみてくださいね。保険について知りたい

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おさらい

  • ケガや病気の保険はエリザベス一世が出した「私掠船(海賊行為OK)」のお墨付きに対するケガ・病気の保障が起源になっています。
  • 生命保険の仕組みは、中世ヨーロッパの同業者組合「ギルド」から。近代数学の発達で、保険の仕組みがきちんと機能するようになりました。
  • 日本の生命保険は明治時代に誕生。戦争や規制緩和、外資、損保の参入など時代に合わせてどんどん種類が増えていきました。

(最終更新日 : 2021年1月6日)

執筆者

大倉 愛子

ファイナンシャルプランナー、ライター

投資歴30年。国土交通省交通運輸記者会所属の専門紙編集長を務める。

難しい金融用語をわかりやすく伝えることがモットー。

「金融知識を増やすことが、お金の不安から解放される第一歩!」

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