相続

相続を放棄しても死亡保険金は受け取れるって本当?

この記事の早わかり要約

  • 亡くなった人の資産および負債などの財産をすべて承継しないことを相続放棄と言います。
  • 相続放棄をしても、死亡保険金は受け取ることができます。
  • 相続放棄した人は、生命保険金の非課税金額は適用できませんが、相続税の基礎控除は適用されます。

保険金は相続放棄しても受け取れるの?

相続放棄をすると、すべての財産を受け取ることができないと考える人も多いのではないでしょうか。

 

実は、相続放棄した場合でも、死亡保険金は受け取ることができます

 

それは、契約者被保険者が同一の保険契約の場合、死亡保険金は亡くなった人の財産ではなく、保険金受取人の固有の財産であると考えるからです。

 

そのため、相続放棄をしていても死亡保険金を受け取ることができるということです。

 

ただし、その死亡保険金は、みなし相続財産(※)として相続税の課税の対象になります。

 

※被相続人(財産を残す人)の財産ではないが、亡くなったことがきっかけで相続人が受け取る財産のことをみなし相続財産といい、死亡保険金や死亡退職金などが該当します。

 

相続放棄しても死亡保険金を受け取ることはできますが、受け取った死亡保険金は相続税の課税対象になります。

 

生命保険の非課税金額”や“相続税の基礎控除”の考え方を確認しておきましょう。

 

そもそも相続放棄とは?

相続人が、被相続人の財産を承継しないことを“相続放棄”といいます。

 

相続放棄をする場合は、相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出る必要があります。

 

相続放棄をするのに他の相続人の承諾を得る必要はなく、相続放棄をした人は初めから相続人ではなかったと見なされます。

 

相続財産に負債が多い場合や、被相続人の負債額が不明な場合に有効な方法です。

 

生命保険金の非課税枠は使えない

死亡保険金には“遺された家族の生活保障”という役割が大きいため、「500万円×法定相続人の数」までの金額が非課税の扱いとなります。

 

相続放棄した場合、相続を放棄した本人は初めから相続人ではなかったものと扱われます。

 

しかし、相続財産の課税額を計算する際などは、相続放棄した人も「法定相続人」に含めて考えます。

 

相続を放棄した本人は相続権が失われるため、生命保険金の非課税枠を利用することはできません。

 

しかし非課税金額の計算には、法定相続人として相続を放棄している人の数を含めることができ、非課税枠は相続を放棄していない人同士で分け合うことができるのです。

 

たとえば、法定相続人は妻と子どもで、子どもが相続を放棄したとします。

 

この場合、子どもは死亡保険金を受け取ることはできますが、生命保険の非課税枠の適用を受けることはできません。そのため、受け取った金額は相続税の対象になります。

 

妻は、子どもが相続を放棄していても「500万円×2人=1,000万円」まで生命保険の非課税枠の適用を受けられます。

 

このように相続人のうち誰かが相続を放棄しても、他の相続人の生命保険の非課税金額が減ることはありません。

 

基礎控除は適用される

もうひとつのポイントとして“基礎控除”があります。

 

基礎控除とは、相続財産全ての合計額に対し、いくらまでなら非課税になるのかを示すものです。

 

基礎控除の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となっており、この金額を差し引いた後の相続財産に相続税が課税されるのです。

 

相続を放棄した場合でも基礎控除は適用でき、法定相続人の数に含めることができます。

 

例えば法定相続人が1人なら、相続放棄をしていても基礎控除は、「3,000万円+600万円×1人=3,600万円」になります。

 

相続を放棄した場合でも、死亡保険金が3,600万円の基礎控除の範囲内であれば、相続税はかかりません。

 

また配偶者には、法定相続分か1億6,000万円のいずれか大きい金額までが非課税になる、配偶者の税額の控除制度があります。

 

相続放棄をしていても、保険金など受取人の固有の財産に関しては、相続税の控除を受けることができます。

 

生命保険は相続放棄をしていても受け取ることができる財産です。生命保険として家族にお金を遺す準備をしている場合、多くの場面で役立つ可能性がありますよ。

 

おさらい

  • 亡くなった人の資産および負債などの財産をすべて承継しないことを相続放棄と言います。
  • 相続放棄をしても、死亡保険金は受け取ることができます。
  • 相続放棄した人は、生命保険金の非課税金額は適用できませんが、相続税の基礎控除は適用されます。

(最終更新日 : 2018年9月7日)

執筆者

荒木 千秋

ファイナンシャルプランナー、日本家計検定協会理事、大阪電気通信大学金融経済学部特任講師

現在は、同大学の講師を中心としながら、お金に関する個別相談や、WEB媒体の執筆、女性向けセミナー等を開催。

メガバンクにて、富裕層や法人オーナーを対象とした投資相談業務に従事した経験により、金融商品の販売側と一般の投資者側の両方の視点に立ったお金の知識を伝えることをモットーにしている。