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「免責」って何?保険でカバーされないこともある!?自動車保険からがん保険の免責まで

この記事の早わかり要約

  • 生命保険でも損害保険でも免責事項が定められており、契約者間の公平性が保たれています。
  • 故意に起こした事故・自殺(一定期間内)、天変地異、戦争などは、保険の免責事項にあたり、保険金の給付は受けられません。
  • 車両保険契約の免責とは、「自己負担の金額」のことで、免責金額と保険料には大きな関係があります。がん保険には免責期間が設けられていて、一定期間の間はがんと診断されても保障を受けることができません。

免責とは?

保険などの契約によく出てくる「免責」。責任を免れるの?誰が?と疑問がわいてきますね。免責とは、保険会社に対して、責任を免じることは何かを規定しています。

 

保険契約において、保険会社は、保険の対象となっている人や物に万が一のことが起こったときに保険金を支払うという責任があります。

 

その責任を免じるということですので、免責とは、保険金が支払われない要件等のことと思っておいていいでしょう。

 

ただし、自動車保険、生命保険がん保険など、保険の種類によって免責事項は異なりますので、それぞれについて確認していきましょう。保険契約の際や、いざという時の保険金請求時に、きっと役に立つ豆知識です。

 

車両保険の免責とは?

自動車保険にはいくつか種類がありますが、まずは車両保険について見ていきましょう。

 

車両保険は、任意で加入する保険ですが、相手がいる事故において過失割合に関わらず、修理費等、自分の車の損害を補償する保険です。単独自損事故も補償することができます。

 

この車両保険においての免責とは、「自己負担額」のことです。

 

「保険に入ったのに、自己負担って、何で?」と、何の為の保険かと疑問に思われる方もいらっしゃるかと思います。

 

ところが、この車両保険の免責、大きな意味があるのです。また、免責金額の設定によって、保険料が大きく変わってきます。

 

具体例を挙げてみましょう。

 

車両保険では、契約時に「免責金額」を設定することが一般的です。

 

5万円の免責金額で契約して、車をぶつけてしまい、修理費用に20万円かかったとします。この修理費用は保険金でまかなうことが可能です。

 

20万円(修理費)-5万円(免責金額=自己負担額)=15万円

15万円が保険金から支払われることになります。

 

なぜ「免責」があるの?

「せっかく保険に入っているのに、自己負担があるなんて、ショック!」そう思われるお気持ち、よく分かります。ところが、この「免責」があるおかげで、保険料が安く設定できているのです。

 

自動車の場合を例に上げますと、「ちょっとバンパーがへこんだ」「ドアミラーが壊れた」などの場合、数万円~10万円以下くらいの修理費になることが多いようです。

 

修理費用が免責金額以内ですむ場合、保険会社からの保険金の支払いはありません。

 

保険会社が保険金を支払う際には、振込手数料等の経費がかかります。保険会社は、免責金額を設定し、支払いの機会を減らすことで保険料を安く設定することができるのです。

 

というのも、契約者が支払う保険料の設定には、保険金支払いの原資だけでなく、保険会社にかかる経費等も含まれているからです。

 

一方で「免責なし」と設定することもできます。免責なしとは、免責金額が“0円(ぜろ円)”ということです。

 

「今は修理をする手持ちのお金がない」そのような場合には、免責なしにしておくと安心かもしれませんが、免責金額を設定している場合に比べて、保険料は割高になります。

 

免責金額を設定していれば、支払うことのなかったかもしれない少額の修理費用等、保険会社が保険金を支払う可能性も高くなるからです。これが、そのまま保険料に反映されます。

 

免責なしの場合と、免責ありの場合を比べて、保険料の差額がそこまで大きくなかった場合、万が一の事態に備えて念のために、免責なしにしようと考える方もいるかもしれません。

 

しかし、ここに大きな注意ポイントがあります。詳しくは後述しますが、自動車保険には等級があり、一度でも事故で保険金の請求をすると等級が下がり、保険料が今までよりもグッと高くなってしまうのです。

 

保険料と免責金額のバランスをよく考え、複数社のものを比較してみると良いでしょう。

 

免責金額の2つの考え方

免責金額には2つのタイプがあります。

 

■定額方式

自動車保険では、1年で満了となる保険契約が一般的ですが、保険期間中、何度保険金を請求しても免責金額は一定となります。免責金額が5万円の場合は、「5万円」「5-5万円」というように表記されます。

 

■増額方式

保険期間中に複数回、保険金請求をした場合、1回目よりも2回目以降の免責金額が多くなります。「0‐10万円」「5-10万円」のように表し、先の数字が1回目、後の数字が2回目以降の免責金額となります。

 

免責事項とは?全損は免責なしって、本当?

これまで、金額にまつわる「免責」を見てきましたが、次は車両保険の「免責事項」も確認してみましょう。免責事項とは、金額ではなく、どういった場合に免責となるか、という事柄のことです。

 

車両の損害の原因によって、免責が適用される場合があります。地震・噴火・津波などの天変地異が原因の場合は、多くの保険契約で損害が免責事項とされ、保険金は支払われません。

 

また、保険契約の約款に定められている免責事由に該当することを行うと、免責となり、保険金給付が受けられません。それぞれの事由については、後ほどお知らせします。

 

一方で、全損の場合も免責が発生しません。というのも、免責は分損の場合にのみ発生するからです。分損とは一部の損害のことです。

 

全損とは、修理ができない状態、もしくは修理費用が保険金額を上回る場合、または盗難被害にあった場合等に適用されます。全損の場合には、契約時に免責金額の設定があるなしに関わらず、保険金が全額支払われます。

 

車両保険以外の自動車保険の免責とは

自動車保険は、車を購入したら強制加入となる自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)と任意加入の自動車保険があります。車両保険は任意保険のひとつです。

 

自賠責保険は交通事故の被害者救済が目的で、免責事項は、「契約者、被保険者の悪意によって生じた損害」としています。

 

任意保険は、それぞれ交通事故の被害者・加害者側の損害を補償するものがあります。任意で加入できますので、特約などで免責金額の設定などができます。

 

これらの保険に共通している免責事項は、故意に起こした事故や、戦争、天変地異などがあります。また、免責金額は、契約時に定めます。

 

免責金額の相場、決め方、注意点は?

免責金額の相場は、ドライバーの腕前と、交通事情などによっても左右されます。長年運転している場合は、自分の運転の技量がある程度分かるはずです。

 

「近距離の同じルートを運転するだけ」の場合は、事故の可能性はあまり高くなさそうですね。しかし、事故はどのような原因で起こるか分かりません。あらゆるケースを想定して、免責金額を設定しましょう。

 

例えば、免責金額を10万円に設定すると、5万円の設定に比べ、保険料が安く設定できることになります。しかし、万が一事故が起こり、損害を受けていれば、10万円まで自己負担となります。

 

車種によっても修理費は大きく違いますので、“自分の場合”でよく比較検討してみましょう。

 

免許取り立ての人であれば、少し低めの5万円くらいに設定するのも良いでしょう。保険料は割高になりますが、実際に大きな修理が必要な際には「保険に入っていてよかった!」と思うことになるでしょう。

 

自動車保険には1~20までの等級という制度があって、事故歴などによって、この等級が決まります。自動車保険を契約した当初は、通常6等級からはじめ、保険期間1年間無事故であれば、次年度に1等級上がります。

 

ところが、事故を起こしてしまうと、3等級下がってしまいます。保険料は、等級が小さくなるにつれ、高くなります。

 

この等級に保険料が左右される為、等級を下げたくないあまり、小さな損害の場合には、保険金の請求をしないで自己負担する人もいるようです。

 

保険を使うかどうか、修理の前に事故対応窓口で試算してもらうのも良いでしょう。加入している保険や車種、契約者の年齢によって保険料は変わってきます。

 

また、自動車保険は保険契約の申し込み、保険料の支払いの両方が完了した時点で補償が開始となりますので、免責期間はありません。

 

損害保険の免責とは?

損害保険の場合にも、「免責」金額以下であれば保険会社からの保険金給付はありません。損害保険では、どんな保険の場合に免責があるのか、確認してみましょう。

 

免責金額は、契約者の自己負担になる金額のことでした。これに対して、免責事項は、保険会社の保険金支払いが免責となる事項のことです。

 

契約者の故意による場合や戦争、天変地異など、保険契約で定めた事項を決めています。免責0円の契約もありますが、やはり保険金額が高めの設定です。

 

免責金額を設定して保険料をおさえることもできますが、契約時には免責事項や免責金額をしっかりチェックするようにしましょう。

 

保険に加入する際は、一度「免責はどうなっているのか?」と確認してみる習慣をつけましょう。

 

生命保険の免責とは?

これまで、車両保険など、損害保険の免責について確認してきました。一方で、人を対象とする生命保険の場合にも、免責があるのでしょうか。一緒に見てみましょう。

 

命に係わる生命保険でも、免責があるなんて、驚かれるかもしれませんが、きちんと規定があるようです。例をあげてみましょう。

 

死亡保険金(給付金)の免責事由の例

・保険契約の開始日から一定の期間以内に、被保険者が自殺した場合。

・契約者または死亡保険金(給付金)の受取人の故意による死亡の場合。

・戦争、その他の変乱による場合。程度によっては、全額または一部を受け取れる場合がある。

参考:生命保険文化センター

 

こうしてみると、保険金を目当てにしての自殺や推理小説のような保険金殺人は、「免責」となり、保険金の給付は受けられないことがわかります。

 

このように、生命保険が悪用されることがないよう、保険契約ではモラルリスクへの対策が取られているのです。

 

また、災害や、入院給付金にも免責事由が規定されています。概ね、故意のケガ、反社会的な行動、天変地異の場合には保険金の給付が免責になるようです。具体的には、以下の通りです。

 

災害死亡保険金・入院給付金の免責事由の例

・契約者、被保険者または災害死亡保険金(給付金)の受取人の故意または重大な過失の場合。

・被保険者の犯罪行為・精神障害の状態を原因とする事故・泥酔・無免許運転・酒気帯び運転を原因とする事故によるとき。

・戦争その他の変乱、地震・噴火・津波によるとき。程度によっては、全額または一部を受け取れる場合がある。

参考:生命保険文化センター

 

生命保険契約では、契約時に配布される「約款」が重要です。約款に記載の免責事由に該当する場合は、保険金(給付金)は受け取ることができません。

 

免責事項は、各社で異なることもあるため、契約時によく確認することをお勧めします。

 

がん保険の免責とは?

医療保険の中でも、加入率が高いがん保険。生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査(速報版)」によると、がん保険やがん特約の加入率は、37.8%と、3人に1人以上の人が加入しています。

 

実は、がん保険は特有の免責期間が設定されています。加入後3ヶ月または90日といった一定の待機期間(免責期間)があります。この期間にがんの診断をされても、保険契約自体が無効になり、保障を受けることができません。

 

がんは、自覚症状のなさやごく初期には発見しづらいケースがあります。保険契約は、多くの人の相互扶助の関係で成り立っているもの。契約の公平性を維持するために、このような免責期間が設けられているのです。よく比較検討して、ご自分にぴったりな保険を検討しましょう。

 

保険や家計に関わりの深い「免責」

いかがでしたか?聞き慣れない「免責」は、契約があるところには、必ずあると言っていいほどの印象ですね。

 

生命保険やがん保険では、給付金を受ける際に免責事項がありました。また、自動車保険では、免責と保険料に、深い関係がありました。

 

いずれにしても、契約の際には人任せにすることなく、「自分のこと」として、約款や契約書の内容をしっかり理解しましょう。また、情報を比較検討して決める心構えも大切です。

 

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おさらい

  • 生命保険でも損害保険でも免責事項が定められており、契約者間の公平性が保たれています。
  • 故意に起こした事故・自殺(一定期間内)、天変地異、戦争などは、保険の免責事項にあたり、保険金の給付は受けられません。
  • 車両保険契約の免責とは、「自己負担の金額」のことで、免責金額と保険料には大きな関係があります。がん保険には免責期間が設けられていて、一定期間の間はがんと診断されても保障を受けることができません。

(最終更新日 : 2018年9月5日)

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執筆者

大倉 愛子

ファイナンシャルプランナー、ライター

投資歴30年。国土交通省交通運輸記者会所属の専門紙編集長を務める。

難しい金融用語をわかりやすく伝えることがモットー。

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